今日は80点主義について考えましょう。  80点主義、この言葉を聞いて皆さんはどう思いますか?平均点主義、平凡、事なかれ 主義、そこそこ、技術停滞の根源、…。  多くの方がこの様なイメージを持たれているのではないかと思います。この言葉は元々、 トヨタのカローラ開発で主査を努められた長谷川氏が用いた言葉ですが、今ではそのイメ ージのみが一人歩きしているのではないでしょうか? 曰く、そつのない人、 曰く、無難な人、 曰く、特徴のない人、 曰く、チャレンジしない人、…。  この様な流れで曰く、失敗もないが、独創的な成功もない、マニュアル人間が闊歩する ことになるのです。  時代が上手く流れている時は問題の露呈はしないのですが、従来技術ではどうしても突 破できない壁に当たった時、ブレークスルーをするにはどうしても100点以上が必要なの です。80点主義では何人集まっても、やはり80点では突破することができないのです。  事ここに至って初めて気が付くのです、「100点+80点の人よりも90点+90点の人を重 用していた」ことに。  そしてそのような平均化が技術を停滞させていた事に。 でも、このような「100点+…重用していた」解釈をすること自体が根本的に「80点主義」 を理解していない人たちなのです。徹底的に誤っているということです。  長谷川さんはこんな解釈で「80点主義」を唱えたのではありません。 長谷川さんが唱えた「80点主義」とは ・目標は全項目100点である。 ・100点取れない項目でも幾つかは90点を確保する。 ・90点取れない項目でも最低限80点は確保する。 ・100点が一つもないもの、及び、80点以下は論外。 といった、高邁(こうまい)なものなのです。この考えで周りを見渡した時、どのくらいの 製品が、あるいは、どのくらいの人が、その思想に叶うでしょうか?  実態はかなり厳しいと言わざるを得ないのでは無いでしょうか?貴方は製品について 「詰めは後回しで良いから量産化を急げ!!」とか、部下の育成について「失敗がないから いいんじゃない…」と言ったことはありませんでしょうか?  今一度、「80点主義」の原点に立ち戻って、 ・この製品はこうあるべき、 ・この後輩はこの面でこう伸長させる、… といったポリシーをもって任に当たっているのか、心がけたいものです。 このことは「個性的なリーダー」にもつながる重要な項目なのです。 「80点主義+αの思想」について詳しくは下記のページを参照して下さい。 http://toyota.jp/information/philosophy/corolla/concept/ism.html